中村彝アトリエ (16 画像)
水戸市寺町(現在・金町)に生まれた中村彝(つね)は、明治の終わりから大正期にかけて活躍した洋画家である。 若くして肺結核をわずらって以来、病状にあっては画想をめぐらし、小康を得ては作画を続けるといったくり返しの日々だったが、大正13年、わずか37歳で生涯を終えた。 短い画業にもかかわらず、レンブランド、セザンヌ、ルノワールなどの影響を受け、西洋絵画を自己の内に咀嚼しながら真の芸術を求め続け、「エロシェンコ氏の像」(1920年・重要文化財・東京国立近代美術館蔵)、「髑髏(どくろ)を持てる自画像」(1923年・大原美術館蔵)など、日本の近代絵画史に優れた作品を残している。 画家後半期に制作活動の舞台となったのは、大正5年、現在の東京都新宿区下落合に建てられたアトリエであった。彝の念願により出来上がったこの建物は、敷地の南側に庭が設けられ、寝室を兼ねた4畳半の居間、北窓から柔らかな自然光が射し込む画室、身の回りの世話をしていた岡崎キイが起居したという3畳半などから成る瀟洒な洋風建築になっている。 このアトリエは昭和63年、茨城県近代美術館の開館を機に、中村彝会をはじめ彝を慕う方々のご協力を得て、故郷である水戸の地にほぼ当時の姿で新築復元された。室内に展示された数々の遺品からは、今なお画家の生活や制作の様子がしのばれる。

茨城県水戸市千波町
公式ホームページ

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